大学の授業で映画「ベン・ハー」を上映した。途中、ガレー船で奴隷としてオールを漕がされているとき、奴隷頭がベン・ハーをいじめようとして、ドラマー(2つの木槌を交互に叩いて、漕ぐリズムを決める係)に命じてどんどん木槌のテンポを上げさせ、それにつられて音楽も悲壮感をたたえたままどんどんテンポが早くなり、奴隷たちが耐え切れずに次々に倒れて行く。あのシーンと音楽の組み合わせがおかしくってたまらず、こうして思い出している今も笑ってしまう。ドリフで使えるネタだと思う。漕ぐのに夢中になって海賊に襲われるのも間抜けでよい。

あのシーンがおかしいのは、なまじ木槌とサントラを合わせてしまっているからだろう。Emerson, Lake & Permer の「展覧会の絵」で、キース・エマーソンのオルガンに合わせてカール・パーマーがメロディを全部なぞって叩いているのがめちゃくちゃダサいのと同じ原理なのだろうとカネゴンは邪推する。カシオペアのキメがどうしてもコミカルになってしまうのも、きっとそれだ。「美は乱調にあり」の逆ってやつでしょうか。かといって、「格好悪くないだけが取り柄の音楽」というものには興味が持てない。