野間吐史(のま・とし)という漫画家がいた(今気付いたが、この人も虫プロだった。カネゴンは知らず知らずのうちにどうも左翼っぽい漫画をチェックしていたらしい)。漫画家を片っ端から掘り起こす変なブームの中でもなぜかこの人は顧りみられていない。一見ほのぼのした絵(永島慎二の弟子だったそうだ。道理で)なのだが、それに似合わない残酷な話を描いていて印象深かった。「民話シリーズ」とか。高橋陽介(あれ?この字でよかったのかな)の真性サディズムあふれる残酷さとはまた違う、土着性の怖さ。ところでこれはじっくり見てみると意外な発見があって面白い。その後活躍している人が佳作に多いとか、諸星大二郎と同じ回に村生ミオが入選していたり、最近になるほど英語のタイトルだらけになっているなど。あと、ここも、掲載している絵のセレクションがよい。この手のページはたいていいい加減な絵の選び方をしていることが多いので、貴重。