何の自慢にもならないのだが、このかたわれの人が、そのカネゴンの職場にいた。グラフィック・デザイナーという触れ込みだったらしいのだが、雨の日に唐傘をさして下駄を履いてくる、完璧な頑固者であった。しかも愛嬌がこれっぽっちもなくて、カネゴンは正直言って怖かった。土曜日にアルバイトで出勤すると(最初アルバイトだったのだ)、たまたまこの人と二人っきりになってしまい、ものすごく気まずかった。その後、社内恋愛がどうしたこうしたで飛び出してしまってからはよく知らない(その後社内恋愛禁止令が出る)。カネゴンはブランドの知識は田中康夫の10万分の1もない。