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以前から各方面で絶賛されているヘビー・デューティーなミュージカル映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を見る。つらすぎ。これは「ダメ人間の内部を実況中継する映画」だ【また決め付けをおれカネゴン】。主人公が盲目になるというのはおそらくストーリーの中では重要ではない。見ていてなぜか「死の刺」(島尾敏雄--小説版)を思い出した。私小説をわかりやすく図解してくれる映画というか。
私小説は「ダメ人間からダメ人間へのメッセージ」だと勝手に解釈しているカネゴンだが、主人公が妄想するミュージカル(豪華な頭音)は、何かまわりにきっかけとなる音がないと決して始まらない。だから無音の世界に行くと妄想すらできなくなる。逆に、かすかな音が発生しただけで勝手に頭音が始まってしまい、それに没頭しているうちに当然のごとく仕事で大失敗する。この妄想の中だけで響く音楽は、最後の最後に初めて外に表現されるが、まったく救いになってない。
みなさん、みなさんをいらいらさせるダメ人間の内側にはこのような世界が展開されています。でもそれは、まず表に出ることはありません。ダメ人間は表現することも賢く立ち回ることもできません。
何にしろ物凄い映画であった。しっかり体調を整えて見ないと影響が大きい。このダメな主人公に感情移入してしまいそうなのをカネゴン必死でこらえるが、最後は強引に涙を搾り取られたような心持ち。移民一世が数多く登場するので英語は極めて聞きやすい。吉祥寺では4/6までやってます【ネタばれセーフかおれカネゴン】。