まったくもって今頃「ポール・クルーグマン教授の経済入門(山形浩生訳)」を読み中。書店でいつも売り切れで、やっとたまたま目に入った。

Seed氏一押しだけあってやはり激烈に面白い。ゴルゴ13以外に経済情報を目にしないカネゴン目から鱗が音を立てて落ちる。宇宙論における隠れた変数のような魔法のパラメータは経済にはなく、しかしまたあるとも言えるらしい。経済もやはり予言が重要な仕事につき、積極的な天気予報(天候に手を加える)みたいな面がある。ただ経済の場合、統計の数字以外に目に見えるものがなかなか現れないせいか、何だか真っ暗闇で盆栽を育てるような苦労がありそう。うまくまとまらない【試しがあるのかおれカネゴン】。

見れば見るほど、経済をシミュレーションできないかと思ってしまう。これまでごく部分的なシミュレーション以外行われていないのは、経済活動の要素が多すぎる上に本質的に分散処理であるため、まともに実装できなかったためと思われる。強力なスパコンが、科学技術計算に真っ先に押さえられてしまうという一面もあるかもしれない。方法があるとすれば、SETI@home みたいな方法か、各種フェロモンと餌で制御される昆虫軍が適任かもしれない。ゴキブリ一匹一匹が、経済的人間として活動する姿を捉えるという感じか。経済学者が大学で目の色を変えてゴキブリを育てる日も近い。