吾妻ひでおはロングインタビューの中で島尾敏雄と並べて「太宰治」をフェイバリットに挙げていた。これは単なる彼の趣味ではなく、極めて重要なことだったりする。カネゴンも全部など読んではいないので適当なのですが、太宰治の暗くない小説を読むと(暗い小説は単にギャグに失敗したと思われる)、なぜか吾妻ひでおを連想させるものが散見される。何というか、ものすごく自分勝手かつ独りよがりなテーマを使っているのに、なぜか読ませてしまうみたいなところが。何にしろ真似するのが極めて困難な大技につき、どちらにも継承者がいないのが困ったところ【本気にされるぞおれカネゴン】。ポーの「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ビムの物語」がマッドメンの後半(常世の国で人肉を食べるあたり)と展開がすごく似ていた時以来の衝撃。