大昔の「Sound&Recording Magazine」のサウンドコンテストで優勝した京都の呉服屋さんは70を越えたおじいさんで、ローランドの箪笥型シンセモーツァルトを演奏させていた。そのおじいさんがこの雑誌でシンセサイザー講座の連載まで始めてしまい、カネゴンは毎回楽しみにしていた。

その連載の中で、「弦楽器群のチューニングは、思い切ってずらしてしまった方が却ってリアルになる」という経験則について書いていて、なるほどと思った。その一方で、NHKポール・モーリアのライブを見たときには、弦楽器の音程が恐ろしいほどにぴたりと一致していて、オーケストラであるにもかかわらず、まるで一人で演奏しているようにしか聞こえなかったオカルト体験がある(なぜかギターだけ下手だったことも妙に覚えている)。人間はいくらでも機械になることができるということをこのとき痛感。