リヒテルは「展覧会の絵」のテープだけ持っている(もらいもの)。録音が悪く、初めて聴いたとき客席がやたら咳こんでいて妙な感じだったけど、当時ヨーロッパでインフルエンザが大流行していたせいだと後で知る。演奏が始まって十数秒で、リヒテルがものすごいミスタッチをしているのに驚かされた。ほとんど一発ギャグ。なのに、最後のクライマックスまで聴くと声が出ないぐらい打ちのめされてしまう。こんなに勢いのある演奏は、本人も二度とできなかったのではないかと勝手に想像している。演奏後に椅子から立って振り返ったら、ピアノが轟音を立てて崩壊とかしてたりして。