人類史上初の顔文字

毎度のネタで申し訳ないけど、碩学白川静の著書でカネゴンが好きな部分。「笑」という字の語源は中国の文献(説文解字)にすら「犬が竹をかぶっているからおかしい」とナゾナゾの答えみたいな適当なことが書いてあるが、白川博士によれば「絶対そうではない。笑うという字は、狂乱しエクスタシーに達したシャーマン(巫子)が顔をくしゃくしゃに歪めて悦楽にふける顔を描写したものだ」そうだ。そしてこの同じ巫子がクワっと口を開け絶叫する姿を描写した文字が「若」なのだそうだ。「笑」という文字が本当に笑っているように見えたのは、実はかなりアブナイ映像だったのか。

白川博士がどうやってそれを確認したかと言えば、ほとんどの金文を一度は書き写し(しかもガリ版)、当時文字を考案した人(白川博士はこれもシャーマン集団と推測している)の気持ちになりきる(むしろ憑依される)という、根本敬以外に誰にも真似のできない方法。それでいて、二人とも「あっちの世界」に引き込まれそうな危うさが微塵もなく、最早うなるしかない【危ないところのおれカネゴン】。

ところで、この金文で「」を表す文字がカネゴンには昔からチンポに見えてしょうがなかった。カネゴンがいた小学校の座右の名が「唯一心」だったのだけど、その文字を入れた額でこの文字がこの形で使われていて、随分大胆なことをすると子供心に感心した覚えがあった。もちろんカネゴンの勘違いそのもので、この字はずばり「心臓の形」を描写したものだそうだ。当時は、死んだ人の胸にこの文字を赤い染料で描いて魔除けにしていたらしい。ついでに「顔」という文字も何でこんなにごちゃごちゃしているのかと思えば、これまた「成人して顔に入墨を入れた」姿の描写なのだという。