中央線武蔵境駅のすぐ南にある駐輪場は、十年ほど前にはバスの車庫代わりに一瞬使われていた時期を除いて、草ぼうぼうに荒れ果てた空き地だった。当時は囲いも有刺鉄線のみの粗末なものだった。

暑くもなく寒くもない曇天の秋の昼下がりに、その空き地のそばを通りかかると、きちんとスーツを着こなした中年の男2人と中年の女性1人が、その空き地の中央に丸く立って内側を向き、地面の一点をじいっと凝視していた。背の高い雑草が視界を遮っているのでカネゴンからは今ひとつよく見えないのだけど、誰も身動き一つしない。カネゴン首をかしげながらも通り過ぎる。

しばらく後、用足しが終わって再びそこを通りかかると、三人はまだそこに立ちすくんで地面を凝視していた。まったく同じ姿勢で。怪獣使いと少年の如くその地面の下には円盤が埋まっているのか、それとも他にどんなエピソードがあったのかとカネゴンはぐるぐると考えてしまった。後に聞くところでは、その空き地はさる地方自治体がバブルの頃に高値で購入してしまい、身動きが取れなくなった物件らしいとのこと。カネゴンとしてはどうにかしてウルトラQっぽいエピソードにこぎつけて欲しいと願いつづけている【そんな願いをおれカネゴン】。