真夜中の弥次さん喜多さん」を見る。実はカネゴン宮藤官九郎の作品を見るのは初めてで、原作の漫画はComicアレ!で途中まで読んでいた程度。

最高でした。

水を飲みすぎて途中で激しくおしっこがしたくなったのだけど、決死の思いで我慢する【闇に悶えるおれカネゴン】。前半は怒涛のようなお笑いの嵐で、一つも無駄なコマがない。まるでラヴェルチャイコフスキーのアレンジのような、いやになるほどうまい編集のつなぎ。それでいてねじ式よりもはるかに完成度の高い極上の悪夢映像でもある【悪夢が友達おれカネゴン】。しかも「自分探し」などの危険なキーワードや、一歩間違えれば物凄く寒くなりそうなモチーフをいともたやすくギャグに仕上げている。正直、悪夢映像でこんなに笑えるという経験が初めて。出ている役者さんも一人残らず演技がうまく、カメオ出演楳図かずおまでこの上もなくぴったりはまっていた。

宮藤官九郎のことはほとんど知らなかったのだけど、普通のドラマなどでいやというほど見かけるつまらない会話のようなシーンでも、彼が描くと魔法のように面白くなってしまうのが本当に不思議でたまらなかった。どう考えても、こんなものを作り出す力を学校で教えることはできそうにない。

全然違うのかもしれないけど、後半はまるでボリス・ヴィアンの「うたかたの日々」のような、異常極まる世界での胸をかきむしられるようなストーリー。サービス精神が旺盛であまり謎を残さない明快なつくりなので、映画秘宝あたりではあまり相手にされないのかもしれないけど、カネゴン心底恐れ入ってしまった。たぶん原作の漫画より全然面白い。この映画を見たら、宮崎駿は悔しがって黙り込み、諸星大二郎は大喜びすると思う。DVD出たら買います。