昨晩svnseeds氏に聴かせてもらったアート・テイタムのCD(asin:B00006F2WX)を貸してもらう。今までは出所の怪しい1000円CDを1枚持っていただけ【それで書くのがおれカネゴン】。

今改めて聴き直しても、もう超絶技巧だか何だかよくわからないぐらいのはじけっぷりに感動を通り越して恐怖すら感じてしまう。多少ピアノをかじったカネゴンにも、正直どんな細かいことをしているのかまったく見当がつかない。しかも、ピアノソロのはずなのに、鐘の音とかベースの音としか思えない音色が出し抜けに飛び出す程のコントロールっぷり。何より、この超高速のテンポストライド奏法をやろうとしたら、慣性に逆らって左手を左右に動かすだけで大仕事。彼の巨体で手の慣性を押さえつけないと身体が手と逆に振られてしまいそう。

何で読んだのか忘れたけど、あのオスカー・ピーターソンもピアノが上達し始めた頃、増長せぬようにと父親がアート・テイタムのレコードを聴かせ、あまりのショックに三日間ぐらい飯が食えなくなったみたいなことがあったとか。何にしろ、こういうのを聴くとゴルゴ13みたいな人物がいても不思議ではないと思える。

それでいて、天才的な人に皆が期待するような痛々しさや悲壮感がまったくなく、誰でも気楽に聞き流せるところがうれしい。「皆さんどうかおひねりをよろしくお願いしますよ」という自分がおまんまを食うための正常なサービス精神を感じてしまう。