このところ「日英語表現辞典 (ちくま学芸文庫)」を読む。出版されたのが1980年(著者は既に物故)だけあって、70年代カルチャーの匂いが色濃く残っている。当時は新語だったのが今ではすっかり定着または衰退していたり、「スタグフレーション」や「トレードオフ」のように日本語にも溶け込んでしまったものなどがあって面白い。ときどき論旨がつながらなくなっているように思えるのは気のせいなのだろうか【貴様が言うとはおれカネゴン】。文章が女性問題に及ぶと途端に鼻息が荒くなる。

男性をa good sportと形容すると「気のいい奴」だが、女性をa good sportと形容すると「いい遊び相手」とまるで意味が異なる。だから女性にとっては喜んではいけない言葉なのである。

国際交換の催しの場で皆が民族衣装を着て出席する中、トルコ人だけがビジネススーツで参加し、その理由を「It conjures up an unregretted phase of our history.」と説明していた。このunregrettedは「失っても惜しくない(むしろ失われてよかった)」という意味だ。