またしても漫画喫茶に泊まってしまったので、この機会に念願の楳図かずお「14歳」一気読みを果たし、腹の皮がよじれる。

ページをめくったときに何としてでも読者を驚かすことのみに全知全能を注ぎ込んでいるために、登場人物がほぼ一人残らず最初から最後まで取り乱し続け、前のページで言ったことを次のページで完璧に忘れ去るほどの強度の健忘症にかかっている。おそらく楳図かずお以外には誰もできない、恐ろしく間の悪いコマ運びと、外国人がこれで日本語を覚えたら大変なことになるぐらい不自然極まる台詞回しはこの漫画で完成されたと感じる。途中何度もストーリーのおさらいがあるのは、そうしないと自分がわからなくなってしまうからなのかもしれない。さらに、科学っぽいセリフの内容が一から十まで矛盾に満ちていて、殊能さんがうっかり読んだら確実に笑い死にし、完全犯罪が成立する。
ハリウッドで映画化されることはまずないと思うけど、諸星大二郎をしてじゅすへると呼ばしめ、空前絶後な何かを完成させてしまった力量に改めて恐れおののいてしまう【ずらかる準備のおれカネゴン】。