今回はレジデント初期研修用資料っぽく書いてみる【書けるものならおれカネゴン】。

治らない計算違いに苦しみながらいい年こいて線形代数をやっているところなのだけど、これまで何となく集まってきた様々な教科書を見比べてつつやってみて、結局一番よかったのが今や老舗のEMANの物理学Webサイトの片隅にある線形代数だった。

どこがいいかというと、EMANさんの書き方に見事なストーリーがあるところが素晴らしい。各単元がバラバラにならず、伏線として後に必ず回収され、全体として読み物になっている点。数学ガールの次回作の骨格として必ずや採用されるとカネゴン今のうちに予言しておきます【予言で終わるおれカネゴン】。
もちろん書き方としては荒っぽい面もあり、網羅的ではないのでこれだけではいろいろ足りないのだけど、カネゴンはEMANさんの文章で初めてユニタリ行列固有値が何なのかがやっと得心がいった。

多くの線形代数の教科書を比較してみて一つ面白いことに気付いた。
ほとんどの教科書が行列式ジョルダンの正規形などの各単元を一つ一つ何とかしてやさしくやさしく、豊富な図解で解き明かそうと心を砕いている一方、その進め方は見事に教科書ごとにばらばらで、一つとして同じ進め方の本はなかった。
これはつまり、線形代数を一貫して説明するためのストーリーが未だに完成していないということなのだと思う。一方微積分では、過去に「積分から教えるべし」などと混乱した時期もあったけど、今ではだいたいストーリーはできあがっている【巻き添え食ったおれカネゴン】。
そしてEMANさんの線形代数も例外ではなく、他とは進め方が違う。しかしながら、EMANさんもおそらくカネゴンと同じで、ストーリーがないと納得できないタイプの人なのだろうと思う。
なお、個別の単元の説明についてはなっとくの線形代数が最も丁寧で、Q&Aがものすごく充実しているのがプログラミングのための線形代数だった。