我が家にある「カリキュラ・マシーン」上下巻はいささか編集の内容が偏っていて、フォーリーブスの「3は嫌いだよー」が入っていないのが実に残念。「あいつのあたまはあいうえお」はちゃんと入っているのに。カリキュラのシナリオには、後に「竹中直人の放送禁止ビデオ」で(というよりWAHAHA本舗の)有名な喰始(たべはじめ、と読むのだろうか)と、「ゲバゲバ45分」でデビューし、「有言実行シュシュトリアン」「ロボット8ちゃん(バラバラマン!)」「激走戦隊カーレンジャー」など数々の怪作を世に送り出した浦沢義雄が参加している。二人とも作風がものすごくはっきりしているので、ビデオを見ただけでどっちが書いたか一目瞭然でわかるのがおかしい。音楽は「ヤマト」でおなじみ宮川泰。時々、音楽がすごくいいのがある。

「か行お段の【こ】」「5のかたまり」

喰始はフジオプロにいたときに赤塚不二夫「赤ん坊料理の作り方」の原作を書いていたことからわかるように「死」をえげつなくネタにすることが多い。「位牌が1、位牌が2、位牌が3」。「放送禁止ビデオ」ではセルフパロディ「ヤリキュラ・マシーン」をはじめ、「葬式クイズ」や「内蔵堪能ディナー」「車椅子の正しい使い方」「浄化槽でシンクロナイズドスイミング」など持ちネタが炸裂するも、本当に抗議が来て「発売禁止」になる。

浦沢は、かの傑作「バス停が世をはかなんで旅に出かける」で知られる通り、「無生物が人間に逆襲する」話が得意(あと「神様」が出てくる話や中年男の哀愁なども得意)。ここでも「5 (発泡スチロールで作った巨大な5)が、両親(宍戸錠岡崎友紀)の教育方針にがまんができなくなって家出し、やくざに弟子入りし、おかまに弟子入りしたのち帰ってくる」というのをやっている。一つも子供番組じゃない。「カーレンジャー」でも「芋羊羹を食べると巨大化する、宇宙の暴走族ボーゾック」「おいしいオイキムチが食べたい一心で韓国に攻め込むボーゾック」「宇宙の交通整理に燃えるシグナルマン(見た目は宇宙刑事。単身赴任で妻と子供あり)」「給料税込みで19万8000円で、何で地球の平和まで守んないといけないわけ?」などやりたい放題(そのせいで特撮ファンには受けが悪かったらしい)。キャッチコピーが「戦う交通安全」だし。