安彦良和という漫画家がいる。昔は特に関心がなかった(音楽が好みでなかったせいでガンダム食わず嫌いだったので)が、最近ちょっと貴重な人だと思うようになった。この人の話作りには独特の左翼臭さが常につきまっていて敬遠していたのだが、宮崎駿が環境問題に足を突っ込んでどんどん中途半端になるのと逆に、安彦良和はこの左翼臭さを決して取り除こうとしていないことに気付いた。ついでに年々絵も凄くなっている。何というのだろう、単に頑固なのとも違う。手を変え品を変え、その独特の左翼的世界観を徹底して追求していて、ちょっとやそっとでは真似できないような深みに達している。師匠の手塚治虫でもここまでやってない。同じく左翼的世界観を追求していた坂口尚(ひさし・こちらも虫プロ出身だったりする)が志半ばで亡くなった今、安彦良和は本当に偉い。心からそう思う。日本の宝だ。クラフトワーク先生に匹敵する求道者だ。(どうしたんだおれカネゴン)。