雑記草を読んで思い出す。昔読んだ今昔物語でこんな話があった。

ある女が男に捨てられ、怨みにまみれて憤死する。死体は屋敷の布団の上にそのままになっていたが、夜ごと青い光を発し、近所の人間が気味悪がる。ついにもとの男の耳にもその話が届き、たたりを恐れた男は占い師に助けを求める。

その夜、占い師の指示でいやいやながら男はその屋敷に忍び込み、うつぶせになっている女の死体の背中にまたがり、夜の更けるのを待った。丑三つ時になると突然死体が「あな重しや」(ああ重い)とうめき声を上げ、突然物凄い勢いで髪を振り乱しながら走り出し、京の町中を狂ったようになって憎い男を探して回った。しかし男は背中に乗っているのでどうやっても探すことが出来ず、明け方に死体はばったり倒れ、二度と起き上がらなかったのだそうだ。どっとはらい

平安京ゾンビの間抜けさもさることながら、「青い光を発して」というのがカネゴンすごく気になった。平安時代に青い光を発することができる光源は存在したのだろうか。想像力だけで青い光を描写したのなら大したものだ。可能性としては「燐光」があるだろうか。死体が腐って雨に降られたりして湿度の高いところに放置されていると、リン成分が遊離してそれに何かのはずみ(雷とか球電現象とか)で点火されて青白い炎を発したりすることがあれば完璧なのだが、燐光は残念ながら赤またはオレンジなのだそうだ。青い光の正体求む。