特命リサーチでは「異食症(炭や消しゴムをついつい食べてしまう病気)の原因が鉄不足にあり、時には寄生虫によって貧血が引き起こされることもある」との結論を出していた。鉄が不足すると自律神経がまともに働かず、おかしな欲望を制御できなくなるのだそうだ。そして翌日の朝のTVでは「天気によってスーパーで売れるものが変わる」との特集が。晴れの日は肉や刺身が、雨の日は(ビタミンを補おうとして)かぼちゃがよく売れるのだそうだ。すでにこういうのを研究する「生気象学」というジャンルもできているのだそうだ。下手なマーケティングなどより天気の方がよほど人心に影響を及ぼすというのは当然予測できることなり。オーディオも、高い機材を買うよりもスピーカーの置く場所を変える方が音質が劇的に変化するが、それと似ていなくもない。

人類の歴史を振り返れば【カネゴン大袈裟な】、必要な栄養を過不足なく摂取することができた時期の方が圧倒的に少なかったに違いない。だから、猿が木から下りて以来、常に何らかの栄養が不足し、いわゆる正気を保てない状態の方がむしろ普通の状態だったのではないかという気がしてならない。外界に何らかの変化が起これば、それに対応する状態になるのが当然なのだから、常に正気を保って幸せでいられることの方が相当無理があることになる。誰しも常にベストコンディションになれるわけがないのだから、調子が悪いときはじっとしているに限る。

生気象学が発達して「雨の日は会社を閉める方が能率が上がる」なんて結論が出たりしたらどうしよう。ぜひそうあって欲しいものだ。コンピュータ業界では、プログラマーが深いパーティションに入れてもらえるのがあたりまえになっているが、それは海外の経営コンサルタントか何かが「プログラマーの生産能率を上げるには、深いパーティションといつでも呑めるコーヒーメーカーを用意してやることだ」と大真面目に取り上げたのが原因。でもパーティションの効用はコンピュータ以外にもきっとあると思う。お役所のような、パーティションも何もなく上司が監視しやすくするためだけの机配置は著しく生産効率と勤労意欲を下げていることにそろそろ気付かれてもよいのではないか。