ミシェル・ルグランを聴くたびにあまりの素晴らしさに泣きそうになる。ルグランの音楽はなぜか冨田勲と極めて似ている。片やフランス音楽の権化、片やフランス音楽にあこがれ続けている両者が似ていることは不思議ではないのかもしれない。どちらもラヴェルの弟子みたいなものだし。特に、聴いていて頬を赤らめてしまうような小っ恥ずかしさのある人声(コーラス)の使い方が、本当にどきっとするぐらい似ている。

昔JazzLifeか何かで読んだミシェル・ルグランのインタビューによると、ルグランの音楽はフランスでは全然相手にされていないのだそうだ。糠味噌のようにあまりに身近すぎて、有り難みを感じられないのかもしれない。日本なら、浮世絵や人造人間キカイダーのように海外で誉められるとたちまち逆輸入されるところだろうけど、フランス人のプライドがそれを許さないのだろうか。

その冨田勲は、先年リリースされたジャングル大帝の復刻サントラが気に入らず、回収してしまったらしい。ラヴェルはさすがに亡き王女のためのパヴァーヌを回収はしなかったみたいだけど。

本当かどうか知らないけど、フランスでは音大を出ていないと職業的音楽家になってはいけないという話を聞いたことがある。素人が大量に参入することで音楽が安くなることを防ぐのが狙いなのかもしれないけど、同時に活力も失ってしまいそう。