随分前、あるバイオリニストが「究極に自然なエコー(残響)」を求めて、鍾乳洞でレコーディングしたことがあった。しかし洞窟内部は湿度が100%近くあり、楽器のコンディションにとっては最悪の環境だったので録音は難航しまくったらしい。その後DSPが発達してしまったせいか、誰もそういうことをしなくなってしまった。

かと思うと、レコーディングスタジオで使われている最高級のエコーマシンとして未だにスプリングエコーが使われていたりする。スプリングというと、よくギターアンプに入っている、蹴っ飛ばすと「ガーン」とバネ臭い音が響くアレという安物の印象が強いけど、最高級の品は特性の揃った複数のスプリングを逆相でつないで見事なまでにノイズをキャンセルしてしまうのだそうだ。その分製作が難しく、お安くなかったりする。