カネゴンが幼虫(小学校低学年)の頃に読んだふしぎの国のアリスは、「ぞうさん」でおなじみのまどみちお司修のバージョンだった。子供向けのダイジェストなのでいろいろ省略されていることに気付いたのは随分経ってからだけど、さすが詩人というべきか、文体が優美で妙に印象に残っている。かの「ウィリアムとうさん」の唄はまどバージョンだとこうだった(思い出せないところは適当にうそ書いてます):

ウィリアムとうさん
そのしらがあたまで みごとにさかだちできますね
むかしはあたまも だいじにしたが
どうせからっぽ もうきにしない
ウィリアムとうさん
そのでぶちんで そんなみごとなとんぼがえり
手足がつよいのは くすりのおかげ
ひと箱50円だ 買わないかい
ウィリアムとうさん
その目でよくも 鼻にうなぎをのせられますね
なんべんきくんだ どらむすこ
でていけ いかぬと けとばすぞ

おなじく「なまけもののうた」

にわをとおって よこめでみると
パイをたべてる ふくろうと豹
豹はパイの皮と実と汁を
ふくろうは皿だけかじってた
豹のみやげはナイフとフォーク
ふくろうのもらったみやげはスプーン

ここで正確無比な原典と比べてみると随分違っている。ウィリアムとうさんに至っては大胆に3番を省略してしまっているし、なまけもののうたも前半をばっさり切っている。「ぞうさん」路線堅持というか、唄としての座りの良さを優先した苦心の跡がうかがえる。カネゴンの場合この本の印象が強過ぎて、ディズニー版も原作も何だかフェイクのように見えてしまい今に至る【安っぽいのはおれカネゴン】。しかも鏡の国のアリスの方は未見。