妄想の研究。とその参照先のロンドン通信。引用させてください。

(中略)妄想の研究に、ベイズ理論を応用したのもヘムズレイです。確率論のベイズ理論にもとづく信念形成モデルを枠組みとし,そこからの逸脱として妄想現象を説明しました(Hemsley & Garety, 1986)。少ない情報から強い確信に至ってしまう判断傾向のことを性急な結論バイアス(jumping to conclusion)と呼びますが、これが妄想を生み出すという仮説です。のちに、これを実験的に確かめる研究もおこなっています。ベイズ課題をおこなうと、妄想性障害をもつ人は、結論にいたるまでのサンプル抽出数が少なく,最初にたてる仮説の確信度が高いという結果が得られます。つまり,少ない情報量から性急に結論を引き出し,自説に対して過剰な確信を持つことが妄想を発生させると考えられます。面白いのは、この結果をベイズ理論からみると,妄想群のほうが「合理的」な判断をしており,逆に,健常群のほうが非合理的で慎重すぎる判断をしているということになることです。ベイズ理論からいうと,むしろ健常者に慎重な判断バイアスがあり,妄想群にはそうした慎重なバイアスがないというのです。うつ病抑うつリアリズムのような話です。こうしたヘムズレイの仮説から妄想の判断バイアスの研究が始まりました。

性急な結論の大好きなカネゴンは赤面の至り【走るがよいぞおれカネゴン】。合理的であるとかどうかより、はた迷惑になってないかどうか心配。