大昔に学研のユアコースシリーズの本で、和田則彦という作曲家がおならの音を集めてオーケストラを作ったという記事を見たことがあった。まだサンプラーなどこの世にない時代なので、すべてテープ操作でこつこつ作り上げたらしく、その執念に脱帽してしまった。ここには書かないけど、おならの音を集める苦労話が絶品だった。

その後だいぶ経って、高城重躬「スタインウェイ物語」(この本自体端から端までもれなく面白かった)という本を読んでたら、高城さんの家に遊びに来た人が「この子はとっても音感がいいので、先生ちょっと試してみてください」と愛くるしい男の子(6才ぐらい)を紹介し、先生がソルフェージュをやらせてみると、百発百中でどんな複雑な和音でも再現したので驚いたというエピソードがあった。まだ手が小さいので、両手で押えられないコードだけは「手が届かないや」とあっさりあきらめたとも。「あの男の子があの後どうしているかと思ったら、いつの間にか立派な作曲家になっていた。それが和田則彦君である。」と結ばれていて、カネゴン即座にこの人を思い出す。文面からうかがう限りでは、高城さんはおなら音楽のことはご存知なかった様子。それとも執筆当時にはまだ始めていなかったのかも。