書評:お金には正しさがあるか現代思想みたいな本を読もうという気には未だなれないけど、デリダという人の主張をこうやってコンパクトにまとめてもらえると何ともありがたい【ショートカットのおれカネゴン】。ここからカネゴンが勝手に読み取る限りでは、やっぱりイデア論は有害だったのだと思わざるを得ない。美味しんぼを読むまでもなく、「どこかに本物(イデア)がある」と思い込む限り、今目の前にあるものはすべて偽物扱いされるというか。目障りと思えるものをきれいさっぱり排除した理想社会を追求することは実ははじめからやり直したい症候群と変わらないというか、「今あるものをどうやって改良するか」というエンジニアっぽい取り組み方とは思った以上に距離があるのかもしれない。

「お金から自由になりたいからお金が欲しい」というのは確かにある。お金そのものについては、大昔にカネゴンが読んだ異星の客(Stranger in a Strange Land)という小説で「お金は、うまく使えば正しいことに役に立ちます」と当たり前のことをさらっと言ってのけていたことに驚かされたことがあり、以来カネゴンの中でそれが基本周波数となっている。同時に作者のハインラインが紛れもなく関西人の心を持っていることを改めて確信。田辺聖子訳のハインライン希望。