新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解くを一気読み。青木薫さんの訳はいつも読みやすくて助かります。

ここに書かれている個別の事実は既に知られているものも多いかもしれないけど、それを系統立てて説明してくれているのはありがたい。ネットワーク理論はつい最近(1999年かそこら)まで「成長」という概念がない静的なモデルだったのが、成長と優先的選択という概念を取り入れたことによってべき乗の法則が見出されスケールフリーモデルが確立したことによって一気に開花したとのこと(それまでのモデルでは分布がベル曲線になっていた)。すごく大雑把に書くと、平均値から大きく外れた例外がほとんどないのがベル曲線、ノードの大多数が線をわずかしか持たない一方、線をいくらでも多く持つ少数のノードがありえるのがべき乗。応用はあっという間に広がるのに、パラダイムは本当にゆっくりとしか進化しないことを痛感。あんまり書くとあれなのでこの辺で止めておきます【↓終わっておらぬがおれカネゴン】。本書の後半は突如ネットワーク礼賛&ビジネスチャンス云々の記述が増え、まるで別人が書いたみたいだった。

ちらりとしか書かれていなかったのだけど、言語(たぶん自然言語のこと)をネットワーク理論の目で見ると(単語をノード、共起する意味を線とすると)、まったく同じようにべき乗の法則に従うとあった。プログラミング言語ももしかすると、一つの表現が厳密に一つの意味しか表さないことを徹底させるよりも、一つの表現にいろんな意味がありうるもの(いわゆる「汚い」とされる表現)がほどよく混ざっている方がよかったりするのだろうか。

何となくだけど、鍼灸経絡秘孔がいつかネットワーク理論で説明され(ようとす)る日が来る予感。