チャングムの誓い」では、生臭い権力闘争でドラマが殺伐としてしまうことを懸念してか、コミカルな人物も(半ば強引に)あちこちに登場する。それを見ていて、手塚治虫が「漫画のかきかた」で「バンパイヤ」という漫画を例にとってお話作りのコツを説明していたことがあったのを思い出す。以下記憶より。

人間は、いろんなしがらみがあるために本当の欲望を押し殺さないと生きていけない。動物だったら自分の欲望に忠実に生きていける。そうだ、動物に変身して、思う存分好きなことをしてしまう人間を主人公にしてみてはどうだろう。ついでに、主人公トッペイとの対比を強調するために、人間の姿のままであらゆる悪事に手を染める人物を配置してみよう。シェイクスピアマクベスをもじって間久部緑郎(ロック)という名前をつけてみよう。でもこのままではお話が暗くなるので、コメディリリーフも配置しなくては。トッペイの弟ということでチッペイにしよう。

というような感じでお話を作っていたらしい。ただ本人曰く「自分で創作して置きながらこんなことを書くのも何だけど、ロックというキャラクターは苦手だ。彼が登場すると話が暗くなってしまうのだが、体調が悪いとつい彼を登場させてしまう」とのこと。