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数理科学11月号より:
現在の宇宙は膨張を続けているが、その膨張は加速していることが近年判明した。この宇宙の未来はどんなものになるだろうか。
- 膨張が加速を続けるということは、遠方の銀河の遠ざかる速度が速くなることを意味する。観測する側から見ると、遠方の銀河の時間がだんだんゆっくり進み、いつまでたっても遠方の銀河は同じ過去の姿しか見せないようになり、時間が凍りついたようになる。なおブラックホールに落下する物体でもこれと同じことが起きる。
- やがて猛烈な赤方偏移が生じ、遠方の銀河からの光の波長がぐんぐん伸び、光からマイクロ波、電波となって観測が困難になる。
- それがさらに進むと、ブラックホールと同様の事象の地平線が、観測者がいる銀河を中心とする銀河団単位で形成され、遠方の銀河からの情報はまったく来なくなる。
時間の経過とともに、私たちが観測できる宇宙の範囲はどんどん狭まっていくことになる。
可能性は低いが、状態方程式がω<-1の場合、とてつもない運命が待っている。
- 有限時間内にスケール因子aが発散してしまう。つまり空間が裂けてしまう。
- 宇宙の膨張を加速させるダークエネルギーが強すぎて、重力による構造(銀河とか太陽系)はおろか、電磁気力や核力すら壊されてしまう。
- もしω=-3/2程度だとすると、宇宙は後200億年ぐらいで終末を迎える。まず銀河がバラバラになり(終末の6000万年前)、次に太陽系が壊れ(3か月前)、地球も壊れ(30分前)、原子も壊れ(10-19前)、終には空間が引き裂かれて宇宙は完全に終わってしまう。