昨日、「あけてくれ」主催であるM1号の結婚式・披露宴・二次会が豪華絢爛に執り行われる。カネゴンは初めて式の最中にちょっぴり泣いてしまう。
委細は省略するが、この日あの「あけてくれ」が二人の結婚を祝して「あけてくれキボンヌ・愛(Amor)」という豪華な拡張子を帯びた名を携えて再び地上に甦り、狭いステージの中一人残らず大暴れし、カネゴンのヴァイタル値が危険な閾値にまで低下するほどエネルギーをすっからかんに放出する【天国見えたおれカネゴン】。天・地・人がグランドクロスのごとく総力を挙げて二人と多数の列席者を祝福する。二人、そしてすべての列席者および列席できなかった方々の将来に幸(さち)てんこもりに多かれ。

ホレス・シルバー(Horace Silver)というジャズのピアニスト(存命中らしい)がいて、特に昨今の水準から見るとびっくりするぐらいピアノが下手なのだけど、未だにその道の頂点にいるのは、作曲能力が飛びぬけて優れているというのが大きい。彼の作った曲はたいていがそのままスタンダードになっていて、他のミュージシャンはそれを切り売りしてご飯を食べているようなものかもしれない。専門の学校に通えば学べるような指先のテクニックと違って、作曲能力は逆立ちしても学びようがないせいか、ジャズピアノを弾こうとする人は誰もホレス・シルバーを見習おうとしない。
ジャズが落ちぶれている理由についてはいろいろ言われているのかもしれないけど、色川武大が「近年のジャズにはろくな作曲家がいない」が一番図星な内容だと思う。演奏のテクニックは不気味なまでに進歩しているのに、いい曲がさっぱり増えない。「名曲にはどこかに必ずダサくてキャッチーな部分がある」とカネゴン信じているのだけど、ダサい部分を敬遠するあまり、磨き砂を使いすぎて肝心な成分までこそげ落としてしまったような気がしてしまう。クインシー・ジョーンズミシェル・ルグランは明らかにそうしたダサい部分を絶妙のバランスで意図的に導入することができる大人のアレンジャーだと思う。

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