電車に乗っている若い衆を見ていてカネゴンが一方的に思うのは、びっくりするぐらい「呪い」とか「恨み」とかそういうものに縁がなさそうだということ【呪いに満ちたおれカネゴン】。人類史上、これほどまで呪いや恨みと無縁でいられたことはかつてなかったのではないかと【年をとったらおれカネゴン】。カネゴンの悪い癖で、そこにあるものより、そこにないものの方が気になってしまう。
しかしながら、呪いや恨みは本当にすべて人の心から完全に排除し、人の心は春のごとくのどけからましくあるべきなのだろうか。何の科学的根拠もないのだけど、有毒な金属元素もごく微量ないと人体が正常に機能しないように、誰も見ていないところで他人を心底から呪い倒し、無力な自分を徹底的に恨んで恨みぬくというプロセスをどこかで通過しないと、満面の笑顔で遠くの民族を浄化しまくることにまったく抵抗を覚えなくなってしまいそうでカネゴンいらぬ心配をしてしまったりする【浄化の近いおれカネゴン】。
この辺をおおっぴらに教育することは、性教育などよりも遥かに大きな技術的および社会的困難にぶちあたるはずなのだけど、あまり後回しにするとよりいっそう面倒が増えそうな予感【間もなく四十のおれカネゴン】。