高次脳機能障害関連資料より。

イギリスのウイルソンらの行動評価に関する質問表からは以下のような点が遂行機能障害と関連すると言われています。
因子1:行動

  • 最初に思いついた事を何も考えずに行動する。
  • 自分の問題点がどの程度なのかよく分からず、将来についても現実的でない。
  • 人前で他人が困るような事を言ったりやったりする。
  • ごくささいな事で腹を立てる。
  • 状況でどう振る舞うべきかを気に掛けない。
  • 落ち着きがなく、少しの間でもじっとしていられない。
  • たとえすべきでないとわかっていても、ついやってしまう。
  • 自分の行動を他人がどう思っているか気付かなかったり、関心がなかったりする。

因子2:認知

  • 実際になかったことを本当にあったかのように思い、人にその話をする。
  • 過去の出来事がごちゃまぜになり、実際にはどういう順番で起きたか分からなくなる。
  • 何かをやり始めたり、話し始めたりすると、何度も繰り返してしまう。
  • 何かに集中することができず、すぐに気が散ってしまう。
  • 物事を決断できなかったり、何をしたいのかを決められなかったりする。

因子3:情動

  • 物事に夢中になりすぎて、度を超してしまう。
  • 物事に対して無気力だったり熱意がなかったりする。
  • 感情をうまく表せない。

治療にはリハビリが有効とのこと。というよりリハビリしかないらしい。

  • 計画を立てられない。

→家族や周囲の援助が必要です。「まず、○○からきめましょう」「○時に△△に行くなら何時のバス?」というように手掛かりを与え、一緒に計画を立てます。これは、特に何かの行事とか特別なことがらでなくても、日常生活上の行動でも同様です。

  • 課題や仕事を正しい方法で続けられない。

→課題や仕事をしている時に始めのうちは正しく行うことができたのに、途中から勝手にやり方を変えてしまったり、混乱してしまったりすることがあります。これは課題を行っている自分をきちんと監視できないために起こります。自分だけで正しく行えない患者さんには、その都度正しい方法に手掛かりを用いて誘導し、次第にその手掛かりを減らしてゆきます。

  • 仕上がりにむとんちゃく

→課題や仕事の出来上がりが汚れていたり、折り目の端がずれていても、全く気にかけないように見える患者さんがいます。自分のしたことの結果を自分で見てもフィ−ドバックされていないようです。このような場合、「もっときれいに」「丁寧にやりなさい。」などという漠然とした注意は効果がありません。折り目に目印を付けたり、きれいに仕上げるための具体的に工夫を行う必要があります。

→患者さん自身認知障害があることを分かっていたとしても、他者から見ると到底困難と思われるような将来を思い描いている場合があります。適切な将来展望を持ってもらうためには、家族などが説得してもなかなかピンときません。ある程度、希望に近いことをしてもらい、それがうまくできないということを身をもって知ってもらうことが必要です。あるいは、第三者に客観的に判断してもらうという方法もあります。