ぼくスピノザ先生の遺した最大級の問題の一つ(といってもカネゴンが勝手にそう読み取っただけなのだけど)に、「物理法則は宇宙のどこに行っても変わらないのか」という問いかけがある。
これは、「もし仮に宇宙のどこかに、物理法則がこの地球上で観察されるそれと違っている世界があったとしたら、カネゴンたちはそれについて何かを知ったりできるのだろうか」とも言い換えられる。
古今東西の物理学は、「物理法則は宇宙のどこに行っても変わらない」ということを無意識に前提にしている。「加速器でビッグバン当時の宇宙を再現する」という実験は、まさにこれが前提になければ絶対に成立しない。「物理法則そのものが違う世界というものがありうるか」という問いかけについてはたぶん「今のところ反証が見つからない」という説明で終わってしまいそうな気がする。
なのだけど、もしたとえば遠い銀河では物理法則が微妙に違っていて、それによって観測値に影響が生じているようなことがあったとしたら、それを判別することはできるだろうか。式を立てるうえでは、左辺と右辺で何か不変のものが必要になるはずなのだけど、唯一頼りになるはずの物理法則自体が遠方では違っている可能性があるとして、それでも式を立てることはできるだろうか【もう寝る時間のおれカネゴン】。
別に遠方でなくてすぐそこにそういう世界(たとえばプランク定数が違う世界)があったとしても、それを観測することはできるのだろうか。暗黒物質だか星間ガスだかによる擾乱と区別できるだろうか。もしかすると、カネゴンたちのスコープは「物理法則が一定の世界の内側だけ」に限られていて、そこから一歩たりとも踏み出すことはできなかったりするだろうか。
もしそうだとしたら、今のところ根拠はないのだけど、これを解決するにはたぶん物理学だけでは不足で、論理学の助けが必要な気が何となくする【そして寝るとはおれカネゴン】。