今が旬のようなのであまり書きたくないのだけど【落ち目を愛するおれカネゴン】、福満しげゆきがモーニングに描いている漫画に登場する女性が異様になまめかしくてしかも類型的でなく、毎回夢中で読んでしまう。
カネゴンはまったくチェックする気にならないけど、たぶん世に腐るほどあるどんな私小説よりも安全なところからダメ人間を覗き見する趣味を満足させる仕上がりで、芸術の「術」の本質が「ゴミを宝に変える技術」であることを改めて痛感。世の美術学校の入学試験は、一律にこの人の漫画を読ませてそれに衝撃を受けながら耐えられる精神の持ち主のみを通すようにすればよいとすら思う。
今週号では、主人公の僕が見事バイトをばっくれる描写があり、同じ経験を持つカネゴンは心臓を不意に握りつぶされたような心地になる一方で、昔の自分を見かけてつい「元気でやっているか」と肩でもどやしてみたいような気持ちにもなる【似合っておらぬはおれカネゴン】。当時のカネゴンの場合はばっくれた後の自己嫌悪に耐えられず、ずっしり重い気まずさを無理やり押しのけて半年後に同じバイト先に復帰し、以来二度と同じことはしなくなった、と思う【天知る地知るおれカネゴン】。