雨の降る日曜は幸福について考えよう Think Happy Thoughts on Rainy Sundays』より:

以前、知人に頼んで高校の授業を見学させてもらったことがある。そこは典型的な底辺校で、男子は金髪にピアス、女子は真っ黒な顔に超ミニスカートが定番だった。
教師は、教壇に立って教科書を朗読していた。それを聴いている生徒が最前列に一人か二人。マンガを読んだり、携帯でメールのやり取りをしている生徒が七、八人。後は教室の後ろで車座になり、トランプや花札で遊んでいる。交互に教室を抜け出しては、廊下に煙草を吸いにいく。
知人によれば、この学級はまだマシな方だという。生徒が、教科書を朗読する教師の権利を尊重しているからだ。教師が生徒の自由を認めることで、暗黙の停戦協定が成立している。
昼休みには、生徒たちが校庭に屯(たむろ)して煙草をふかしている。その横を、教師が目を伏せて足早に通り過ぎていく。

カネゴンは20年も前に(服装の違いを除いて)これとそっくりの映像を見たことがあり、それが新田たつおの「ビッグマグナム黒岩先生」という漫画だった(映画は未見)。
今でこそ「静かなるドン」のロングセラーで広く知られるようになったのだけど、教師出身で親孝行な新田たつおの漫画にはかつて必ず「学校」というモチーフが一種の執念のように投入されていた。その中でギャグめかして描写されていた極端な底辺校の姿が、今ではまったく日常の風景になってしまっている。カネゴンが知らないだけでもしかすると昔も今もそういうところは変わっていないのかもしれないのだけど【もしやで終わるおれカネゴン】。