荻生徂徠大岡忠相に語ったとされる話:

大岡越前江戸町奉行の時、徂徠を招いて食事をした。
「私は天下の大役を仰せつかっていますが、学問が無くて、諸事に行き届かぬ事と思います。先生の門に入って学びたいものです。」
と言った。徂徠は「あなたは優れた裁きをされています。今から学問の道にお入りになると、学問に偏り、お役の方がおろそかになり、かえってお勤めが粗略になる恐れがあります。」
と答えた。その言葉に越前守は、「学問をする者は、お役目が務まらぬと申されるか。」と尋ねた。
「学問は大道であって、ある時、急に思い立って始めても役に立つものではありません。なまじ、理屈が分かると、万事が悪く見え、かえって役に立ちません。奉行のお役目は天下の風俗を取り裁き、正邪を正す事にあります。これまでのお裁きで十分です。もし、学問をなさりたいのなら、ご隠居後でもよいと思います。元来が優れた方ですから、どのようにも達成出来ることでしょう。ご子息への戒めにもなりましょう。決して無益な事ではありません。当分の学問は、かえって妨げになりましょう。」

http://ginjo.fc2web.com/130soraidoufu/genwa.htm

【生きた事例のおれカネゴン】。