日曜日の鑑定団の再放送で小山田二郎という画家の作品が紹介されていて、思わず目が吸い寄せられてしまう。もうすぐ出かけようかという時間にもかかわらず結局そのコーナーを全部見てしまい、鑑定団を見ていて初めてひっそりと泣けてくる。
その名を忘れぬよう、小山田圭吾の小山田に、坂上二郎の二郎と覚える。
この種の陰気な絵はあれこれ見たつもりだったのだけど、彼の絵はそれが紛れもなく本物であることをカネゴンに無闇に確信させる。本物過ぎて、たぶん自分の家に飾りたくないぐらい陰々滅々としているのだけど、なぜか何度でも見たくなってしまう【陰気が故郷おれカネゴン】。似たような陰気な絵を描く人は世代を問わずいくらでもいるけれど、たぶん彼の絵の隣に自分の絵を展示されることを皆嫌がると思う。そのぐらい力量が歴然と違う。
奇妙なことに、これほど陰気な絵にもかかわらず、どこにも「呪い」とか「憎しみ」の気配が見当たらない。土着的なものとか田舎くささのかけらもない。不思議に温かみがあったりすることもなければ、泣かせようという演出もない。陰気だけがとてつもない切れ味で、諸星大二郎をパワーアップしたような勢いで迫ってくる。
小山田二郎にぜひ怪獣をデザインして欲しかった。目を背けたくなるぐらい禍々しいのを。今からでも遅くはないので、彼の人物画を片っ端から怪獣に起こしてしまっていいと思う【許可なく許可のおれカネゴン】。