世論調査より当たる?大統領選を占う予測市場
専門家の予測や世論調査より、トトカルチョ市場の方が大統領選挙の結果を高い確度で予測できるとのこと。今では研究用だけではなく商用のさまざまなトトカルチョ市場が開かれているらしい。トトカルチョに参加しているのがほとんどの場合裕福な白人男性で、統計に持ち込むにはこの偏りが邪魔で仕方がないらしい。
調子に乗ってしまったのか、DARPAの偉い人がこれを応用して「テロが起きるかどうか」を賭けるトトカルチョ市場を開いてテロを予測するという計画を発表した途端「不謹慎だ」との非難が囂々押し寄せて撤回せざるを得なくなったとのこと【腹を抱えるおれカネゴン】。
面白いのは、トトカルチョ市場の方が専門家の予測や世論調査より確度が高い理由がわからないということ。研究者は誰も麻雀放浪記を読んだことがないらしい。
麻雀放浪記(だったか阿佐田哲也の他のエッセーだったか)によると、サイコロを振るだけという最もシンプルな博打であるチンチロリンにも必勝法(正確には勝つ確率を高める方法)があるとのこと。それは、「ツイていないプレイヤーと逆のことをする」といういたって単純なもの。人はどういうわけか自分自身に関する予測と自分自身の願望を区別するのが非常に苦手で、自分が今ツイているかどうかを正確に知ることは極めて難しいが、他人がツイていないことを知ることはこれに比べたら遥かに簡単だったりする。
ところで、朝から晩までテレビ漬けの人であれば誰でも【他の誰よりおれカネゴン】、TVに出ているお笑い芸人を見て「あ、この人もうすぐ落ち目になる」という唐突な予感を得、しかもそれが非常によく当たったりする。そして多くの人がなぜか同時多発的に同じ予感を抱き、実のところそれこそが原因で本当にその芸人が落ち目になったりもするのだけど。ともあれ、成功する人を事前に見極めるのはとても難しいのだけど、だめになる人を事前に見極めるのはそれに比べれば遥かにやさしい。
さらに、どこで聞いたのか忘れたのだけど「起業の9割は失敗する」のだそうで、成功と失敗の割合が1対9ぐらいとすれば、成功する人を見極めるより失敗する人を見極めてとっととそこから離れる方が生存の戦略として二重に有利なような気がする。戦国時代の家臣が、その全知全能を賭けて自分の主君がだめかどうかを一刻も早く見極めようとしていたように。
いずれ脳科学あたりでもこの辺が裏付けられそうな予感。
大統領選に賭けるトトカルチョのプロたちも、実際には「当選する人」を見極めているのではなく「当選しそうにない人」を見極めているような気がする【見極められたおれカネゴン】。博打で生き残ったプロであれば、この程度の認識は当然身につけているはず。この辺を自動化するアルゴリズムを設計するのであればこの方針にするのが吉【沼地に誘うおれカネゴン】。