去年だったか、北の半島で作られた怪獣映画「プルガサリ」がちょっと流行ったことがあった。キワモノとして扱われていたが、わざわざ大森まで足を運んで見た自分にとっては心底素晴らしい映画だった。他の観客も「笑ってやるぜ」というつもりで来たのが、最後には図らずも感動していたのを目撃した。プルガサリには、怪獣としての威厳がちゃんとあったし、ストーリーもすごくよくできていた。それでもプルガサリの成長ぶりの描写はつい笑ってしまった。それと、なかなか日本ではお目にかかれない、中世朝鮮半島の風俗描写も非常に興味深かった。特にプルガサリを鎮めようとした「クッ」と呼ばれるシャーマンは日本のと全く異質で、鬼気迫るものがあった。白南準によるとクッは現在でも賎業とされていて、絶滅寸前なのだそうだ。