カネゴンは、既に知っているはずのことでも毎回驚いてしまうという妙な特技がある(忘れっぽいだけなのでは)。例の教科書を読んでて、書かれていることは一応知っているはずのことなのに毎回驚いてしまう。それだけこの本の見せ方、他分野と統合した書き方がずばぬけているということでもある。時々出し抜けに奇声を上げて読んでいる姿はとても人に見せられない。他の人に必ずしも必要なものではないかもしれない。でもカネゴンはこれを読んでいて、もう誰彼構わずキスしたいような気持ちになる(本当にはしないけど)。生きてて良かったと叫んで走り回りたい気持ちだ(しないけど)。一つだけ言えるのは、「この本で勉強できる中高生は本当に幸せ者だ」ということ。実は同じ著者の別の本「オイラーの贈物」も同時に買っているのだが(出版もこちらが先らしい)、順番を飛ばしたくないのでじっくり読んでいる。今後、この本をベースクラスとして継承・拡張しない教科書は、それがどれだけ書かれても無意味だと思う。

著者の詳細は工学教授ということ以外まったくわからないが、大学のときにAppleIIを購入したとあるので、40代半ばだろうか。意外だったのが、あとがきで「プログラミングは極めて苦手」と告白していること。でも今はわかる。プログラミングはあくまで職人の技の一分野で、科学する心と一致することもあるけどまったくしないこともあるようだ。事象として独立しているということか。実験が苦手どころか、近寄っただけで実験装置が故障する物理学者もいたし。両方すごいアルキメデス(この本で最大級の賛辞が送られている)みたいな人はめったにいないようだ。

カネゴンも、プログラミングの生産性が極めて低いことを長らく恥じていたが、今は少しだけ気楽になった。役割が違うのだ。それでもやっぱりコンピュータが好きだし、いいのだ。