カネゴンにとって、「考える」というのは「トンネルを掘る」のに似ていると思う。それがわかる前は、丹那トンネルで分厚い岩盤に出くわしたときのように、到底掘り抜けないような気がしてしまう。時には水脈をぶちぬいてしまって溺れそうになったり、落磐してひどい目に遭ったりもする。しかし一旦理解できると、まるでトンネルが開通したように以後自由に行き来できるようになる。こうやって掘り続けて、蟻の巣のようなトンネルが複雑にからみあう。そして、トンネルの土と空間を入れ換えると、あら不思議、ニューロンみたいなものができた。だめだろうか、こういうの。

たぶんカネゴンの中には、ずっと前に掘ったきりになっている、どことも連結していない孤立したトンネルが無数にあるのだ。掘ってる最中にそういうのに出くわすと、あわてもののカネゴンはそれを近道だと思って通って違う方向に掘り進んでしまい、そのためにわけのわからないネットワークになってしまったのではないかという仮説(?)を立てている。つまりは「あわてもの」が原因ということか。