どおくまん嗚呼!花の応援団カネゴンが未だに好きな漫画。根本敬と張り合える、世界でも一、二位を争う下品な漫画であるにもかかわらず、10回に一度は泣ける話がある。婦女子にまったく媚びない、むしろ婦女子を逃散させようとする意図すら感じさせる絵柄も好きだ。こういう漫画をアフタヌーンに連載して欲しいものだ(あ、岸和田博士があったか)。日本のシェークスピアこと近松門左衛門以来の浪速演劇の伝統を最も正当に受け継いでいるのは(藤本義一ではなく)このどおくまんだとカネゴン勝手に思う。残念ながらまだ映画版は見たことがないが、薬痴寺先輩役のなぎら健一が嵌っていると皆が口を揃えて言うのでそのうち見てみたい気もする。

随分前に少年ジャンプで入賞したときのどおくまん(本名の工藤満のもじりと聞いたことがあるが本当だろうか)本人のデビュー作を見たことがあるが、花の応援団とは似ても似つかない極めて生真面目な内容の漫画で驚いた。もちろん絵柄は今と同じ。その真面目さが比較的現れているのは「暴力大将」などのどおくまん本人が主体となって書いている一連の番長漫画だった。花の応援団がまるで雰囲気が違うのは、(おそらく対照的な性格の)実兄の太地太助が原作を書いている点が大きいらしいことにやっと気付いた。その実兄が十年近く前に亡くなり、どおくまん自身ひどく落ち込んでそれ以来ほとんど漫画を描いておらず(真面目な性格を考えれば本当に無理もない)、どおくまんプロのスタッフたちが代わりにずっと漫画を描き続けながらどおくまんを励ましているらしいとのこと。書いているうちにカネゴン泣けてきそう。