バーチャル・キーボード。こういうのは映画の中にのみ登場する「芝居の馬」としてのガジェットだと思っていた。現実にこんなものがあったとしても、カネゴンはピアノを弾くときの癖でかなり強くひっぱたくため、たちまち腱鞘炎になること疑いなし。カネゴンが自宅で使用している Happy Hacking Keyboard は、裏にゴムを貼ってさらに静音化を図っている。

その昔、電子ドラムとして一時期席巻した「Simmons」(←なぜか公式サイトにアクセスできない)の最初のバージョンは、打面が固いプラスチックだったために、演奏したドラマーが次々に手首を痛める事故が発生したことを思い出す。今ではそんなことをするメーカーはまずないと思われる。YMOが散開ライブでSimmonsを使用したとき、わざわざゴムシートを貼ってしのいでいたはず。

キーボードと言えば、かつてはIBMの電動タイプライタ(セレクトリックタイパとかいう商品名だったような気がする)が最もタッチがよいとされていたが、今ではどうなのだろう。キーボードはもっともコストダウンのあおりを受け、一番しょぼいパーツが使用されるのが当たり前になってしまった。IBMのタッチを再現するようなメーカーはどこかにいないだろうか。

美談として語り継がれている「貧しい女の子が紙に描いた鍵盤のピアノで練習していた」エピソードがあった。バーチャル・キーボードは今や富の象徴だったりして。カネゴンはいらないけど。