ちばてつや紫綬褒章受章。この賞を受賞するということは、老人の仲間入りという証だったりして。創刊間もないモーニングに連載された「男たち」という隠れた傑作がある。舞台となる北千住と登場人物が、当時その近くで住み込みで新聞配達をしていたカネゴンにとっていやというほど身近に感じられた。この漫画に登場する人たちに匹敵する癖の強い人たちが、現実にカネゴンとともに新聞を配っていた。上のリンクにも書いてあるが、どうして2巻で終わってしまったのかが解せないほどのぶち切られ方。

手塚治虫の漫画入門に、「ちばてつやさんは『あしたのジョー』で大儲けしたって本当ですか?」と開口一番に尋ねるアシスタントを怒鳴るシーンがあった。それは手塚治虫でなくても怒るだろう。光文社カッパブックスのこの漫画入門は、途中原稿の色指定の話が延々続き、途中でこれはいかんと思い直して、おかあさんが子供に描いてあげるまんがの書き方に切り替わるという怪作。よほど忙しかったのだろうと想像をたくましくしてしまうほどの一貫性のなさ。