上のリンクにもある世界最古のパズル

京都のモテモテ数学老人の森毅があるとき「数学史上最大の発見は何ですか?」とTV番組で聞かれ、「そりゃあんた、数の概念の発見だろうな」と答えたそうだ。確かに最初にして最大の抽象化。

現実の物体や現象を、数として抽象化し、今度はその数を未知数/変数として抽象化し、今度はそれを関数としてコンパクトにまとめて抽象化し、今度はそれを関数空間として抽象化し、と続々抽象化は進む。ソフトウェア開発も、高級言語の登場から始まって、構造化プログラミングやらオブジェクト指向やらデザインパターンと順調に抽象化が進み、今やUnified Processとかいう手法(正確な名前は忘れた)とXP(Extreme Programming)を併用するところまできているらしい。

よく考えてみると、お金という概念も数の概念に匹敵する抽象化だったのかもしれない。数の概念がないことには生まれようもない概念なのでその後のはずだけど、一種兄弟のような。こちらも株式化や証券化デリバティブ(高級なサシ馬)、先物取引などによって抽象化されつつあるけど、こうして見ると数の概念ほどは展開していない。お金の場合、最初の抽象化のインパクトだけで十分大きい(人間をお金に換算する以上のインパクトが考えにくい)ので、それほど階層を重ねる必要がないのかもしれない。

麻雀放浪記」か何かで、ある博打打ちが死に、その葬儀で博打仲間が「俺はあいつに100万貸していた」「俺は200だ。ちくしょう、もう少し早くポンコツになればよかったのに」と口々に言いたい放題という描写があった。それをなだめるように「博打打ちは普段から金と正面に向き合っているために、悲しみでも何でも金に換算して表現する気質がある」と書いてあった。今思えばこれも一種の抽象化。