暗号というと思い出してしまうのは【集中しとらんおれカネゴン】、泉和助(数年前、境正章が何かのドラマで泉和助の役を演じ、彼のネタ(ゴムでできたスパゲッティを懸命にフォークで引っ張って食べようとする)をやっていたのを見たことがある)というコメディアンのエピソード。彼が亡くなったときに残した秘蔵のネタ帳を他の芸人たちが奪いあったのだけど、そのネタ帳は本人にしかわからない記号でうずまっていて、結局何にもならなかったとのこと(色川武大なつかしい芸人たち」)。暗号化の目的が見事達せられた瞬間。
ブライアン・イーノ喜太郎がやっていた、自分で描いた水彩画を譜面と称してそれを見ながら演奏していた、あれみたいな感じだったのだろうか。いずれにしろ、セキュアとかセキュアじゃないとかを越えた、継承も再利用も念頭にない世界【花も実もなきおれカネゴン】。