8年程前、京橋の近くで仕事をしていたときに立ち寄った定食屋で、ふと頼んだカツ丼があまりに美味しくて不覚にも涙が滲み、ふっと一瞬このまま死んでもいいような気持ちにさせられたことがある【あのときこっちにおれカネゴン】。カネゴンは食べ物のおいしさを形容する能力がないのでしませんが、あれほどのカツ丼にお目にかかったのは後にも先にも一度もない。値段も普通だったし。

翌日鼻息荒くその店に駆け込みカツ丼を頼むと「あああれは試しに作っただけなんでもうないのよ。ごめんなさいね。」と言われ、心底がっかりし、風景が斜めになる。こんなことなら二人前喰べておけばよかったと。

ご多分に漏れずカネゴンは量のみ重視しおいしいとかまずいを基本的に気にしないのだけど、あのときばかりは理性が蒸発してしまった。カツ丼を本気で作るとこんなおいしいものになるという事実はカネゴンの認識を覆した。カネゴンを暗殺するならあのときのカツ丼を喰わせるだけでイチコロです【まんじゅうこわいおれカネゴン】。