21世紀は数学小説を読もう

瀬山 : どうやらぼくが数学を選んだのは,『第四次元の小説』との出会いが非常に大きかったような気がする.たぶんそれが自分の数学観をいちばん底のほうで規定しちゃってるんですね.

 根上 : そういう意味だと,ぼくには,講談社ブルーバックスの『第四次元の世界』が重要な体験をつくっている気がします.

カネゴンが幼虫(小学校3年)の頃、ついうっかり「驚異謎だらけの四次元!」というゾッキ本を買ってしまったことがある。上の対談で取り上げられている本とタイトルは似ていても中身は思い切り違うところがポイントで、こちらはオカルト色が極めて強かった【パチもん掴んだおれカネゴン】。小学生向けの本であるにもかかわらず、特殊相対性理論の方程式の展開をナマのまま載せるなど、今から思えばカネゴンが最初に触れた数学っぽい本なのだけど、この著者が、カネゴンが別ルートで見聞きしていた男と同一人物であることをつい最近知った。
津島秀彦は、どういう縁か松岡正剛と一時組んでいたことのある神秘主義者(自称「六次元博士」)で、オカルト書籍の総本山の大陸書房からいくつも本を出していたらしい(この辺のことは当時も知らなかったけど)。オカルト一色かと思いきや、津島本人が語っていた半生が実に極道で、「大学生のときに、バクチの終着駅とまで呼ばれているテホンビキにどっぷりはまって巨大な借金をこしらえ、実家が経営する大病院を手放すことになり、嫁入り間近だった姉から深く恨まれた」「その後懲りずに先物取引に手を出してすべてを失い、命を狙われたが何とか逃げおおせる」「競馬で70連勝して妻子を養った」と、まるで名物編集者の末井昭ノストラダムスで有名な五島勉を思わせるジェットコースター人生。予想どおりといおうか、その後の津島本人はある時期から魔太郎のように完全に行方不明なのだそうだ。オカルトは有から無を生み出すものであることを痛感。

お気付きのとおり、「驚異謎だらけの四次元!」の著者がまさにこの人であることをGoogleの検索であるとき知ったのだけど、現在はなぜかキャッシュに残っていない。結局どういうつもりで突然こんな本を出していたのか。気長に信者を獲得するために、辛抱強く小学生に種を撒いていたのだろうか。いずれにしろカネゴンは出発点からして腐ったリンゴであったことが判明。うう。