理論という名の物語

これらの理論は、曲の分析や理解には役立ちますが、それを音楽の普遍的法則と頼って盲信することには疑問を持たざるを得ません。

身近な例で言えば、作曲初心者が「コード理論」の本を手にする時でしょう。最初のうちは、そこに書かれている様々な前提や法則といった知識体系を、無理に理解しようとしないことです。体系的な理解というものは、ある程度の時間をかけた後に経験の連関として生まれてくるでしょう。

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関係ないけど、伊福部昭管弦楽法」は作曲とかしない人が読んでも相当面白い。旧仮名遣いのエッセイ集にしては値段が破格なのでおいそれとは買えないのだけど。手元にないのだけど、確か「管弦楽を志す人は、最初は打楽器をふんだんに使用する傾向がある。私も『日本狂詩曲』の頃はそうだった。その次は金管楽器をふんだんに使うようになり、その次は木管楽器をふんだんに使うようになる。そして最後には、やはり弦楽器が最上のものであることに気付くようになる」みたいなことが書いてあった。