カネゴンがジャズを知る前までは、どんなジャズもまるっきり同じに聴こえた。これは考えてみればどんな分野においてもそうで、知らない分野を門外漢が遠めに眺めていれば、その分野が実際にはどれだけ豊穣なものであろうとのっぺりと同じに見えてしまうのは、人の心の機能から考えても、脳の安全を守るためにも、まったく自然だと思う。いきなり最大の分解能でそうしたものに臨むことのできる人は、まずいない。
にもかかわらず、そのジャンルのインサイダーにとっては、門外漢からそのジャンル全体が等質に見えてしまうことがしばしば我慢がならないらしい。その一方で、そのジャンルのインサイダーにとって、他のまったく異なる分野がこれまたのっぺりと等質に見えてしまっていることを自省する動きをカネゴンこれまで見たことがなかったりする。
ジャンル云々はともかく、カネゴンたちが自然を観察/観測するときにも、こっそりこれと同じ効果に惑わされているのではないかという気が常日頃してしまう【そして寝るとはおれカネゴン】。