かのスタン・ケントン (Stan Kenton) オーケストラが60年代前半にプログレに最接近していた頃の代表曲:「Waltz Of The Prophets 」。スタン・ケントンのファンからも毛嫌いされた問題楽器メロフォニウム(Mellophonium)の非常に貴重な演奏シーンもあり。

スタイルこそ仕方なくビッグバンドジャズなのだけど、目指しているものは紛れもなく乙女たちが一人残らずダッシュで逃げ出すほどの男臭いプログレ世界であり、リズムを変えてキング・クリムゾンが知らん顔でカバーしても遜色ない内容とカネゴン勝手に決め付けることにする【ご意見無用のおれカネゴン】。その証拠に、西海岸ジャズの代表格であるにもかかわらず、彼らの音楽にはまったくフュージョン/クロスオーバー音楽の匂いがせず、シャッターの降りまくった中野ブロードウェイのような怪しさだけがむんむんと立ち昇っている。

バンドリーダーのスタン・ケントンはどうやら「芸術的な音楽」を何が何でも自分のバンドでやりたかったらしく、本業のダンスバンドではしっかり稼ぎながら、お抱えのアレンジャーたちにとにかく「芸術的に高度な」音楽を注文しまくっていたのではないかとカネゴン推測。Dee BartonやBob Fitzpatrickなどのアレンジャーとしてはやりたい放題のアレンジができて理想的な環境だったかもしれない。かくして白人ジャズの頂点を芸術的に極めようとしたつもりが、よじれによじれて結果的にプログレの先祖になってしまったということでよいだろうか【珍説珍重おれカネゴン】。